社会医療法人 北九州病院 北九州古賀病院

当院の取組み

摂食嚥下機能回復への取組み
患者さんがいつまでもおいしく食べられるようにそれぞれの専門職による評価に基づいた取り組みを行っています。

摂食嚥下とは

食物を認識してから口に運び、取り込んで咀嚼して飲みこむまでのことを意味します。一般的に「食べる」ことを意味することを「摂食(せっしょく)」といい、「嚥下(えんげ)」は、口の中のモノを飲みこみ、胃に送るまでの動作を言います。

古賀病院では、平成9年から嚥下障害があるかたへの取り組みを行っています。
嚥下造影検査を行い、どこに障害があるか確認し、アプローチしています。また摂食・嚥下委員会では毎月病棟ラウンドを行い食事の姿勢はどうか、食事形態が患者個々にあっているかなどをみています。
平成14年から嚥下外来もたちあげ相談に対応しています。患者さんがいつまでもおいしく食べられるように日々取り組んでいます。

摂食嚥下障害とは

食べること・飲み込むことの障害で、食事や水分などがうまく食べられない・飲み込めないような状態をいいます。症状としては、うまく食べ物を噛めない・口からこぼれてしまう・飲み込むまでに時間がかかる・飲み込めてもむせてしまう・食後に痰が多くなるなどの症状があります。

誤嚥性肺炎とは

摂食嚥下機能の低下や、咳をする力が弱くなると、食べ物や口の中の細菌などが誤って気管に入りやすくなります。その結果として発症するのが「誤嚥性肺炎」です。胃食道逆流が原因で起こることもあります。食事中のみならず、寝ている間に誤嚥することで誤嚥性肺炎を発症することも多く、高齢者では命にかかわることも多いため注意が必要です。

嚥下造影検査

嚥下造影検査(Video Fluoroscopic examination of swallowing : VF)を知っていますか?
嚥下造影検査とは、飲み込みの過程や状態を正確に評価するための検査です。摂食・嚥下障害(食べ物がうまく飲み込めず、誤って気管に入ってしまうこと。「誤嚥」ともいう)の疑われる患者さんに行い、のどの形や、飲み込み方に問題が無いかどうかを調べる検査です。検査方法は、嚥下障害患者に対し、透視室でX線を照射しながら行います。造影剤(バリウム)を混ぜた飲み物や食べ物を実際に食べていただき、どのように口から胃へ運ばれていくか、一連の流れを録画しながら確認します。現在における摂食嚥下障害の診断方法のゴールデンスタンダードとして、鼻咽腔ファイバーを使用して行う内視鏡下嚥下機能検査(Videoendoscopy : VE)と共に、ひろく実施されています。
当院では、月2回(原則として火曜日午後)嚥下造影検査(VF)を実施しています。

嚥下造影検査(VF)で確認すること

  • 摂食嚥下のどの過程が障害されているのか
  • 口腔内で食物が適切に処理(咀嚼)できているか
  • 咽頭残留の有無
  • 誤嚥の有無
  • 誤嚥時のムセの有無
  • 食道内の残留や逆流の有無
  • 安全に食べることのできる食形態の検討(常食・ソフトケア食・ペースト・ゼリー・トロミの濃度など)
  • 適切な食事環境の検討(リクライニング角度などの姿勢調整・一口量・介助方法など)
  • 適切な摂食嚥下リハビリテーションの検討

※歯科医師、言語聴覚士、歯科衛生士、管理栄養士、放射線技師、看護師など多職種が集まり、嚥下造影検査(VF)が行われます。